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「夏の会合(平成21年7月24日開催)」 講演抄録@
(EU協会会報vol.40に収録)

 

 
『多文化共生地域の創出を目指して』
 
白馬村 和田野区長 ダン・マット 氏
   
 

40年の白馬のあゆみ

 

 私は、白馬村和田野区の区長としてどのような活動をして、日本人と外国人が一緒に生活する地域・環境をいかによりよいものにするか、その取り組みについてお話させていただきます。

 私はスコットランドの小さな港町で生まれ育ち、23歳で日本に来て10年になります。大学を卒業してまもなくのことでお金もありませんでしたが、大好きな旅行や研究をしたいと思っていまし
た。英語を教えながら旅行ができるので、一石二鳥だと思って日本にやって来ました。

 日本に来てから白馬がとても好きになり、外国人が北海道のニセコに来ていることを知って、将来、白馬でビジネスを始めるチャンスがあると考えました。いい場所がないか4年間探し、7年間英語を教えながらお金を貯めて、ついに『森のロッヂ』を買うことができました。今年で3年になりますが、ビジネスはおかげさまで好調です。
 

   70・80年代に日本のスキー人口が増えると、都市から白馬に日本人が移り住み、ビッグビジネスになりましたが、90年代初めにバブル経済が崩壊しスキーブームを壊してしまいました。一方、欧米では不動産ブームとなり、03年にはニセコの不動産ブームが始まり、欧米人も加わってピークに達すると、ニセコの外国人は新しい発展の場所を白馬に求めて移り住みました。白馬には美しい自然と共に、おいしい料理が食べられるレストランがあり、一年中イベントや野外活動ができること、犯罪が少ないことなどが外国人にとっては、魅力的です。

 白馬はニセコより3年遅れて開発がスタートし、ディベロッパーが進出しかけた時、世界経済がダメ(危機)になり開発が止まりました。それは、ある人にとってはマイナスかもしれませんが、私は良かったと思っています。バブルではなく、もっとゆっくり地域に合わせて成長するのが望ましいと思います。
   
 

これからの和田野区をつくるための取り組み

 

 白馬には29の区があり、和田野はその区の1つです。40年前は森だらけの地域でしたが、宿泊施設の人や都会からやってきた人たちが和田野をつくりました。現在106件の施設があり、うち2割強は外国人の施設です。施設の3分の1は宿泊施設、内3分の1は外国人がやっています。

 私は住民協定委員会に参加し、共同作業を通して区民に知られたことや、10年間日本に住んで日本人の文化や考え方を理解できたことから、昨年区長に推薦されたのだと思います。その時は驚き、私の日本語や読み書きで大丈夫かと心配しましたが、区の惣代がサポートしてくれることを聞いて引き受けました。

 区長の仕事の一部を紹介すると、区と村役場との橋渡しの仕事で、区の事業を役場に申請したり、会議に出席したりします。役場から届く書類を組に届ける仕事もあります。また、区の代表として村のイベントやお祭りにも参加します。住民協定委員会の委員として、区で開発される土地や建物を検討し、最初の認可をする仕事もあります。
 
 和田野には、技術や才能を持った人がたくさんいます。そして、雄大な山、森には鳥や動物たちがいます。これらはみんな和田野区の貴重な資産です。屋外では、日本人と外国人が力を合わせて、アウト・ドア・アクティビティーで多くの活動をしています。私はこれらの素晴らしい環境・資質を活用して、白馬和田野に来る人それぞれのニーズに合った滞在が可能な地域の環境づくりに取り組みます。
 今年4月に『素敵な和田野委員会』というグループをつくりました。どのように地域をよくするかを考えるシンクタンクです。アイデアの一つは、今ある道を整備して散歩道を充実するために、地主の方に許可を頂いています。
 また、和田野の資源ゴミをどうするか…数ヵ月かけて研究し、集積場ではなく「リサイクル資源即時回収」が和田野にとっては、いいシステムだと考えました。分別の種類(約10種)ごとに1立方メートルの大きな「たためるネットかご」を用意し、決められた時間(夏季2時間、冬季1時間)に分別したゴミ(資源)を集めます。時間が来ると業者がすぐさま回収します。的確な分別と清潔な処理が出来、好評です。燃やしていた生ゴミは、再利用して堆肥化を目指します。その堆肥は人口肥料より良質で、将来的には有機野菜を作ってお客さんに提供したいと思います。

 まだ始まったばかりですが、和田野のグランドデザインをつくることにも取り組んでいます。経済が回復してくると、和田野地域の開発がまた始まると思います。バラバラのものがランダムにできるより、将来の和田野の姿をイメージし、構想に沿って開発が行われ、持続可能な発展をすることが必要です。
40年かけて地元の人たちが今日の和田野区を作り上げてきました。今では白馬で最も魅力がある場所として皆さんに注目されています。日本人と外国人が一緒になって調和のとれた和田野をつくっていきたいと思います。

 

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